宝石の種類によって楽器の吹奏感をアレンジできる楽器ジュエリー

昨年よりプロの演奏家や音大生を中心に広まりつつある楽器ジュエリー〈サウンドストーン〉。ルビー、エメラルド、ダイヤモンドなど一見楽器と無縁に思える宝石ですが、どうやって「楽器に付ける」というアイデアが生まれたのか、考案者であるホルン奏者の池田重一さんと、開発者である池田泰宏さんにお話を聞いてみました!

〈サウンドストーン〉とは一体どういった商品ですか?

泰宏 〈サウンドストーン〉はさまざまな宝石を楽器につけることによっていつもと違った音色や吹奏感が楽しめる楽器ジュエリーです。もう少し音色を明るくしたい、抵抗感を増やしたい。など、奏者の好みに合わせてセッティングすることができるのが特徴ですね。楽器ジュエリーという名前からもわかるように見た目の美しさにはとことんこだわっています。もちろん見た目だけじゃなくて商品としてもしっかりと効果がでるものを目指して開発させていただきました。

開発するきっかけは何だったのですか?

重一 あるときホルンを見ていて、ふとロータリー部分にネジ穴がひとつ余っているのに気づいたんですよね。その頃ちょうど息子(泰宏さん)がジュエリーデザイナーとして工房を立ち上げたところでして、ちょっとネジに宝石つけてみてよ!と軽い気持ちでお願いしたんです(笑)。初めは遊び感覚でつけてみたんですが、宝石のついたネジをつけて吹いた瞬間に、なんだコレ!て思いましたね。つける前と比べて吹奏感や音色に大きな変化がありました。
この変化がネジによるものなのか、宝石によるものなのか、その時はわかっていなかったのですが、これは色々な宝石で試してみたいと思いすぐに息子に相談しました。

泰宏 最初、父に話を聞いたとき本当に宝石で音色が変わるのか半信半疑でした。僕は学生時代からスポーツをやっていて音楽とは無縁の生活だったので音色のことは正直よくわからなかったんです(笑)。

F/B切り替えレバーを見てふと思いついたと語る重一氏

商品化するまでに苦労したことは?

泰宏 まずは宝石ごとの特徴を調べることに時間をかけましたね。僕が宝石を取り付けては父に試してもらう。という作業を何回も繰り返し、宝石ごとの特徴を細かく調べました。

重一 宝石は20種類くらい試したかな?最終的にその中から比較的変化の大きかった8種類の宝石をネジに取り付けることにしたんです。初めは知り合いのホルン奏者に試してもらったりしながら半分趣味のような感じでいたんですが、ある日、ホルン以外の音楽仲間からホルン以外にはつけられないの?て聞かれまして。そこからは大変でしたね。なんせ他の楽器には余ってるネジ穴がないんですからね(笑)

それで楽器に直接貼り付けるタイプができたんですね?

重一 そうなんです。ネジ穴のない楽器に宝石を取り付けるにはどうしたらいいかな、と考えて両面テープで固定する方法にしたんです。ただ宝石をとめる台座から作る必要がありました。

泰宏 台座を作るにあたって一番に考えたのは形状ですね。最初は丸形や四角い台座を作ったんですが楽器につけるとうまく固定されなかったり、なにより見た目が美しくなかったんです。僕はデザインにはこだわりたかったので色んな形状を試行錯誤してどんな楽器にも合いやすい今のデザインにたどり着きました。もちろん音にもこだわったのですが、僕は音色のことはよくわからないので僕がデザインしては父が吹奏感をチェックする。という感じでしたね。この直付タイプが完成したころに〈サウンドストーン〉として正式に商品化しました。最初のネジ式から始まって直付タイプが完成するまで半年くらいかかりましたね。

重一 ネジ式タイプは8種類の宝石を採用していましたが、直付タイプでも同様にさまざまな宝石で音色や吹奏感を検証しました。ネジで直接固定するのとは違いテープでどこにでも貼り付けることができるので、どこに貼り付けても効果を感じやすい4つの宝石をピックアップさせていただき、仕上げは真鍮素地、ゴールドメッキ、プラチナメッキの3種類にしました

サウンドストーン
最初に開発したホルン専用のネジ式タイプ
サウンドストーン
全ての楽器に取付可能な直貼タイプ。
サウンドストーン
ネジ式タイプを装着した例

具体的に商品の効果は?

重一 〈サウンドストーン〉は宝石の種類で音色や吹奏感の変化を楽しむ商品ですが、宝石の種類によって効果がかわります。ルビーは少し柔らかい音になり、エメラルドは音の響きが広がる印象です。ダイヤモンドは音がまとまる感じになり中低音も安定します。見た目の美しさもあるのでエメラルドやダイヤモンドは人気が高いですね。私の仕事柄、色んな演奏家に試していただいては効果を検証しています。意外だったのは弦楽器を演奏する演奏家からも評判が良かったということですね。管楽器ではホルンの他にトランペット、トロンボーン、サックス、フルートなどで比較的大きな効果を実感していただいています。実際に楽器店で試奏する際は、まずは一番変化の大きいダイヤモンドで試していただき、そこから好みに合わせて他の宝石を試していただくのがいいと思います。とにかくもっともっとたくさんの方に試奏してほしいと思っています。

カスタムオーダーもあるそうですね?

泰宏 はい。カスタムオーダーはお客様が実際にお使いの楽器の部品、ネジであったりパーツに直接宝石を留めさせていただくサービスです。テープ式の直付タイプと違って楽器に直接固定するので音色の変化をよりダイレクトに感じやすくなるのが特徴です。見た目も一体感が出て美しく仕上がります。こちらは基本的に受注生産になるのですが、現在はトランペットやトロンボーンの愛好家の方からのご依頼が多いですね。

重一 〈サウンドストーン〉本来の音色はオーダー品が一番効果を実感しやすいと思います。普段つけているパーツに宝石を留めることで起こる変化は演奏者にもわかりやすいですからね。テープで手軽に取り外しができる直付タイプと、より変化が実感できるオーダー品と演奏者の好みに合わせて選べるようにしています。最近はマウスピースに直接宝石を留めてみたらどうなるのかな?と色々検証していますが、マウスピースの場合は音色や吹奏感への影響が特に大きいように感じていますが、人それぞれ好みのメーカーやサイズが違うので他のオーダー品のように手軽に試すことができないのが課題です。でも実はいま、もっと手軽に試せるように新商品を開発中ですので是非楽しみにしていてくださいね。

サウンドストーン
パーツ類に直接宝石を留めるオーダー品
サウンドストーン
マウスピースへの宝石留め加工も可能

最後に、皆さんにお伝えしたいことはありますか?

泰宏 僕はジュエリーデザイナーと楽器業界はかけ離れた世界だと思っていましたが、〈サウンドストーン〉を通してこの一年で多くの音楽を楽しむ方々に出会い色々なお話を聞くことができました。良い商品がたくさんある時代ですが〈サウンドストーン〉もその中の選択肢の一つとしてたくさんの方に気に入ってもらえたら嬉しいと思っています。また今後は新しい商品の開発にも挑戦していきたいですね。

重一 とにかくたくさんの方に試してほしいと思っています。こういったカスタム商品は大人の方向けと思われますが学生にもどんどん試してほしいです。いずれは〈サウンドストーン〉を片手に全国各地を回って試奏会とかやってみたいですね。自分で言うのもなんですが本当にいい商品ですから(笑)。

全員 いいですね、是非やりましょう!(笑)

プロフィール


池田重一 (いけだ しげかず)

大阪音楽大学音楽学部、ドイツ アーヘン音楽大学卒業。
帰国後、大阪フィルハーモニー交響楽団に入団。
2011年3月まで21年間、大阪フィルハーモニー交響楽団ホルントップ奏者を務める。
現在、宮川彬良とアンサンブル・ベガのメンバー。
大阪音楽大学教授。


池田泰宏 (いけだ やすひろ)

神戸を拠点にジュエリーや指輪など全てオーダーメイドで製作を行っているジュエリーブランドASHIOURY(アシュリー)代表。ジュエリーブランドならではの高品質な宝石を使用した楽器ジュエリー〈サウンドストーン〉の設計・開発を手掛ける。他にも楽器チャーム、魔法の指揮棒などジュエリーと楽器をうまく融合させた商品の開発にも力を入れている。


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